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伊豆山h邸

設計のポイント
団塊世代が定年を迎えた昨今、熟年離婚という言葉が流行語のように飛び交っている。今まで家庭を顧みることができず、ワーカホリックとなった男と同じ空間を四六時中共有する。しかも上司癖が抜けず動かすのは口だけ。となれば、そこから逃げ出したいと考えるのは自然な流れと思えてしまうのが怖い。
離婚には大きなエネルギーが必要という。最終事態を避けるために、精神的にも物理的にも避難場所を用意することは省エネに繋がるに違いない。この住宅は家庭を持つ団塊世代の女性が、そこと距離をおき、趣味の裁縫や人形作りに没頭したり、気の合う友人を招いて談笑するための超個人的な空間として計画された。1年の約半分を過ごすこの住宅には、きまぐれな主人の来訪を暖かく迎えることが求められた。とはいっても、不定期に使用する住宅で常時暖房を行うことは、ランニングコストや省CO2の観点から推奨できない。そこで、太陽熱集熱システムを利用した給湯+床暖房システムを提案し、次世代基準の約2倍の断熱性能を外皮に持たせ、更に木造住宅の弱点となりがちな蓄熱性を確保するために、熱容量の大きな仕上げを内部に施した。太平洋に面したこの敷地は、1年を通して日照率がとてもよい。そこで、冬季を中心ににシステムが有効に働くことを想定し、パネルを設置する屋根の角度を大きめに設定した。
他にも、傾斜地に流れる風を的確に捉える「床窓」など、様々なパッシブ手法を駆使し快適住宅を実現した。(藤江 創)





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