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中野区M邸

 

設計のポイント

ロジェクト概要
ハウスメーカーが建てた2世帯住宅の改修プロジェクト。
母親が亡くなり、その遺品管理と故人のお客様の対応のため、面積の大きい1階に移住することになった。施主は2人の猫(珠と華。ともに16歳で、人格?を持っている)との3人暮らし。仕事が忙しく、後10年くらいは朝出て、深夜に帰る生活を続ける予定。建築は鉄骨造で、外壁にALC板。周辺は閑静な住宅地で、北東西に住宅が隣接している。南は小さな庭と駐車場を挟んで前面道路に繋がる。
「施主からの要望」
狭くて暗い雰囲気を払拭してほしい。特に生活スペースは明るいスペースにしたい。
珠・華が快適に過ごせるようにしてほしい。昼間いるのは2人なので、彼女たちの意見を尊重。
一方で、夜は珠・華を施主の寝床に促してほしい。施主への癒し、それが彼女たちの唯一の仕事。
明快で美しい収納+展示を実現したい。俳句や絵を嗜んでいた故人を偲ぶ展示空間と保管場所を考える。
「提案」
施主は日中ほとんど外出しているため、この家では限られた時間しか過ごせない。その貴重な時間を有効に使い少しでも気持ちの余裕を作り出すために、必要な空間を機能的につなぎ、あわただしい外出前後の行動がスムーズに行われるような設計を心がけた。
「朝起きたら、寝室から水周りに直行し、シャワーとお化粧。たまにトイレ。台所で新聞を読みながら簡単な朝食を済ませた後、小さなシンクでザッと食器を洗って出社。・・・夜帰ると、水周りに直行し、シャワーを浴びてほっと一息。寝室で着替えを済ませて、台所でネットをしながら軽く一杯。その後、珠・華の待つ寝室へ。」
上記の行動パターンは、平日ほとんど揺るがないようなので、それを忠実にプランに落とし込んだ。日々の行動において必ずジャンクションとなる水周りには、自然光を有効に取り込む開口を設け、仕上げに明度と反射率が高い材料を使うことで、光の緩衝領域として、廊下や寝室にやわらかい光があふれ出す。
日常生活空間を絞ったおかげで、故人の展示や客間としても使われるリビングは常に広くて綺麗なスペースとして維持することが楽になり、施主の心にゆとりをもたらすことに繋がっている。
昼の支配者、珠・華のためには、すべての部屋を行き来できるように猫穴を建具に設け、夜は北側の寝室に向かうように、寝室にのみ床暖房を設置した。今のところ2人にも満足してもらっているようだ。   (藤江創/アーバン・ファクトリー)

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